予期せぬクリスマスプレゼント
- Namiko HARUKI
- 2024年12月26日
- 読了時間: 1分
更新日:2024年12月28日
人よりすこし長めの学生時代を京都の鴨川沿いで過ごし、気がつけばここロワール川のほとりにある歴史都市に漂着していた。
川の風景どこも似ているものなのか。橋の向こうはそのままあの場所に繫がっているようで、錯覚という言葉ではすまされない細胞のざわめきを感じる。
川沿いの歩道には、寒さを忘れて立ち話をする人たち。
石畳の模様を追いながら、母親の後ろを少し遅れて歩く少年。
飼い主同士の思慮深い距離とは対照に、じゃれ合う2匹の子犬。
そんな人たちの間を通り抜けながら、ふとコートのポケットに手を入れると、何かにぶつかる。
白いナプキンに無造作に包まれていたのは、ジンジャービスケットの欠片だ。
クリスマスマーケットで手に入れた一枚のビスケットを、その場で割って差し出してくれたのは、病院の滞在者アニー。もう80歳をゆうに超える。
彼女のその手つきは、まるで子どもがお菓子を分け合うように、ごく自然なものだった。
ポケットの中身を柔らかに掌でつつむ。水面はまた形をかえてゆく。
