ここブロアが一年のうちで最も賑やかになるのは、この時期かもしれない。
名だたる歴史家たちが一堂に会し、様々な催し物がひらかれる。
今年で27回目の開催となるが、所謂歴史学会でも単発の講演会でもなく、本の展示会等もあり、まさにブロアの町中が「RENDEZ-VOUS DE L’HISTOIRE 歴史との出会い」の場となる。
高架橋からは、駅に到着した電車からいつになくたくさんの人々が降り立つのが見える。
ぎっちりと詰まった本棚から飛び出した本さながらだ。
歴史との邂逅に胸を膨らませ各地から集まってきた人たち。
歴史都市ブロアが、静かに鼓動するが感じられる。
カルロ・ギンズブルグが語るレヴィ=ストロースとのはじめての出会いの細部。
ある歴史書に序文を寄せたルクレジオが、己を執筆へと駆り立てる自らの血の系譜についてが語るその熱量。
読み古したはずの物語の中に新たなページを発見したような新鮮な気持ちを、参加者はそれぞれの書棚に大切に持ち帰っていくのだろう。