top of page
Namiko HARUKI

Toussaint 創設者の墓前にて

万聖節の祝日、お城の病院の創設者である医師のお墓参りに。


居場所を失った患者たちを引き連れ、古い城を買取り(もちろんこの大きな負債は長く続いた)、病院を築いた若き医師は、90歳でこの世を去るまでその土地を離れることはなかった。

圧倒的なカリスマ性を放つ一方で、夜勤の病院スタッフたちが手に負えないような時は、ナイトガウンにスリッパという飾らぬ出で立ちで現れることもあった。

そのとき何をしたということもないだろう。何よりも彼がそこにいること(présence)が、滞在者を、そして病院スタッフを安堵させた。


石で覆わず土をもった墓は、大きな箱庭のようだ。

今年は、箱一杯にパンジーの株が詰まっている。


永い喪が明けるのを感じる光景だった。



bottom of page