風さやさやと秋を吹く
- Namiko HARUKI
- 2023年10月24日
- 読了時間: 1分
更新日:2023年11月4日
最初にお城の病院を訪れたのは、ちょうどこの頃だった。
この季節のなると、野生のシクラメンがお城を囲む森にひかえめな姿をみせる。
そのうす紫の上を漫ろ歩く滞在者たち。
「ここが天国なのか」と見惚れたあの瞬間を、今でもよく覚えている。
あれから月日がめぐり、またここに立っている。
何もかもが変わり果てたようで、何もかもがそのままだ。
樫の木の葉が小舟のように落ちていく。
そんなよしなし事をころがしながら、漫ろ歩く狂人たちの森。
