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Namiko HARUKI

風さやさやと秋を吹く

最初にお城の病院を訪れたのは、ちょうどこの頃だった。

この季節のなると、野生のシクラメンがお城を囲む森にひかえめな姿をみせる。

そのうす紫の上を漫ろ歩く滞在者たち。

「ここが天国なのか」と見惚れたあの瞬間を、今でもよく覚えている。


あれから月日がめぐり、またここに立っている。

何もかもが変わり果てたようで、何もかもがそのままだ。

樫の木の葉が小舟のように落ちていく。


そんなよしなし事をころがしながら、漫ろ歩く狂人たちの森。







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